今年の連休は埼玉の合宿に参加をさせていただきました。メンバーは各地から集まるそば打ちの精鋭たち。その中に交じって一泊二日私なりに頑張りました。
参加者の皆さんは福井名人戦本選出場を目指す人たち。今年の予選会に向けて、淡々と準備を進めています。また来年の全麺協五段位を目指す人たち、目標を定め、練習を重ねています。これは大変な合宿かな、空気がピーンと張りつめているのかと思いきや、そうではなく冗談も飛び交い、和やかな雰囲気が漂う合宿です。ただ要所要所になるとシーンと静まったり、じっと達人のそば打ち実技を見入ったりとメリハリがありました。その中で私が一番良かったのは超粗挽きの水回しのデモを見たことでした。目から鱗とはこういう事かと思ったほどでした。忘れないうちにやってみようと。そしてもう一つ、福井名人戦を目指すためのそば打ち、その美しさ、力強さに目を見張りました。水回しは限りなく優しく、そば粉を愛おしむように、練りは渾身の力で練り込む、のしはまるでスケートリンクの氷上をすべるように、そして切りは一本の狂いもなく一定のリズムで切り進む。観ている人を引き付けるアスリートのようなそば打ちでした。でもご本人はまだまだ練習が足りないとおっしゃる。
「あんなのできっこない」と思いながら家に帰り、テレビを付けるとちょうど男子体操NHK杯の中継を放映していました。これがまた力強くそして美しい演技でした。この日、私の頭の中はそば打ちと体操が混ざって大変なことになっていました。
平成28年5月5日
日本橋そばの会
会長 横田節子